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2007年11月24日 (土)

しゃばけ / 畑中 恵・著

 第十三回(2001年)日本ファンタジーノベルズ大賞優秀賞を受賞した、畠中恵氏の「しゃばけ」。
 後に「ぬしさまへ」「ねこのばば」等へとシリーズ化されて、「しゃばけ」シリーズと呼ばれているらしい、という予備知識は全く持たずに、いつものように本屋で何気なく手に取った一冊だった。

何だろ“しゃばけ”って?

 背表紙を見ると、江戸時代の風情と難事件と、そして本書では「妖(あやかし)」という“人”ではない生き物たちが登場する、どうやら私好みの要素が満載のレシピらしいので、まずは第一作目の「しゃばけ」を読んでみる事に。

江戸の日本橋にある長崎屋という廻船問屋兼薬種問屋の大店(おおだな)の若だんな一太郎と、とりまきの妖怪たちが殺人や怪事件を解決していくお話、というのが大筋である。

 現代風にもう少し噛み砕くと、輸入業と製薬会社を営む長崎屋の御曹司である一太郎は、やっと授かった跡取りなのに病弱であった為、非常に大事に育てられている。
 病床で過ごす事の多い孫に、今は亡き祖母が二人のボディーガードを付ける。
 この二人、外身は人間だが中身は妖(あやかし)。
 一太郎には幼少の頃から「人」では無いものが見える能力があり、二人の正体も承知している。

 と、ここ迄来るとファンタジー小説には疎くても、漫画好きなら、「何処かで聞いたような設定だな」と気付くだろう。

 そう。この小説、まるで「百鬼夜行抄」(参照記事はこちら)を江戸時代に移したような設定である。

 うがった見方をすれば、祖母に孫の命を守るように妖が護衛するあたりは、百鬼夜行抄では、祖父に孫を守るように命令される妖魔の青嵐や、対をなす所は尾白と尾黒のよう。

 物にも魂が宿る辺りは「雨柳堂夢咄/波津彬子 著雨柳堂夢咄/波津彬子 著」のようでもある。

 著者の畠中恵氏は、漫画畑にも席を置いていた経歴の持ち主なので、上記の2作品は勿論ご存知の筈である。…多分。

 二作目の後書きで、藤田氏もやはり「百鬼夜行抄」を思い浮かべたと記述されているので、気が付いたのは私だけではないらしい。

 内容も“主人公の若だんなが、如何に家族や周囲の妖達に愛されているか”の表現に終始しているせいか、若だんなの個性が今一つ弱い気がする。
 逆に言えば、主人公にアクが無い分、周りのキャラクターが個性を発揮している、とも押し図れる。

 難事件の方も、ミステリー好きの私は「文章の何処かに、ヒントが隠れているかも」と、一言一句じっくり読んでいたのだが、そうでもないみたい…。

 しかし、なんだかんだ言いつつも、サクサク読める軽さと、江戸情緒に惹かれて、すでに三作目まで読んでしまった。

 一作目の「しゃばけ」は1つの(?)連続殺人事件を追っていく長編作品で、二作目からは短編集になっているせいか「しゃばけ」で舞台背景を知った上で読む、二作目以降の「ぬしさまへ」「ねこのばば」等の方が楽しめた気がする。

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photo
しゃばけ
畠中 恵
新潮社 2001-12

ぬしさまへ (新潮文庫) ねこのばば (新潮文庫) おまけのこ うそうそ ねこのばば

by G-Tools , 2007/11/24

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コメント

こんにちは、ご無沙汰しています。
寒くなってきましたがお変わりありませんか?

「しゃばけ」シリーズ、私も読んでます。(図書館組なので、最新刊はまだですが)
これだけ読んでいるわけなので基本的に嫌いではないのですが、若旦那とあやかしたちの信頼しあっているほんわかした感じと、物語の中に出てくる事件の重さのギャップがどうも気になってしまうんですよねえ。
変にミステリーにしなくてもいいんじゃ?と思ってしまうのですが。

ところで(ご存知かもしれませんが)、今日の夜9時からフジTVで「しゃばけ」のドラマ化作品が放映されます。
(ストーリーは「しゃばけ」と「ぬしさまへ」を合わせたものらしいです)
かなり宣伝に力が入っていましたが、どうなることやら…。
ちなみに若旦那はNewsの手越くんです。

投稿: tako | 2007年11月24日 (土) 19時15分

◆takoさん
 お久しぶりです。すっかりご無沙汰してしまいました(^^ゞ
どうもPCの調子が悪くて、復元にも「よっこいしょ…ういち」と言うくらいの気合が無いと立ち向かえなくなっています。まぁ、言わばガス欠です^^;

>事件の重さのギャップがどうも気になってしまうんですよねえ。
変にミステリーにしなくてもいいんじゃ?と思ってしまうのですが

 私もそう思います! 最初手にした時、推理物だと思って読み始めたので、どこにトリックが潜んでいるんだろうと、目を皿のようにして(?)いました。が、そんなものを期待してはイケない作品のようですね。
 設定も、金持ちのお坊ちゃまで、体が弱いという唯一の欠点を除けば至れり尽くせりの環境ですよね。これで一般庶民の読者は共感できるのか?と疑問に思ったりします。
 記事で取り上げた「百鬼夜行抄」の主人公は、古い家屋に母子家庭ですし、大学浪人も経験していて、妖怪が見えちゃうので車の免許も儘ならないという設定なので、ファンタジーですが地に足がついている感じがするんですが…。
 どんなに若旦那が悩んでいても「ふ~ん、大変だねぇ」で終わってしまうんですよね。
 なのに!読んでしまうのはなぜでしょう?!「ちんぷんかん」まで…!

 昨夜のドラマ「しゃばけ」、観ましたよ~。
あらら、って感じでしょうか。「しゃばけ」と「ぬしさまへ」の2作品を詰め込まなくても良かったのにね。話が前後してしまったし、若旦那が元気過ぎる! 雨の中歩くなんて、手代たちは何してんの?でした。
 鳴家が可愛過ぎて私のイメージとは違いました。怖い顔してるのに愛らしいからこそいいキャラなのに、最初から可愛いだけなんてヒネリが無さ過ぎです。まさかシリーズ化するんじゃ?!

投稿: はっさく | 2007年11月25日 (日) 16時56分

こんにちは。連投失礼します。

ドラマ、私はけっこう好きでした(笑)
本を読んだのが随分前だったから、というのもあると思うのですが、
私のイメージの中に残っているシーンが上手く組み合わされていたなあ、という感じがしました。
ただ、
>若旦那が元気過ぎる!
というのは同感!
原作だったら半分以上は寝てますもんね(笑)
やっぱりTV的にはそういうわけにもいかないということかと。

「百鬼夜行抄」は絵がキレイですよね。
コミック文庫で読んでますがどこまで読んだかいつも忘れてしまい、たまに本屋で見かけると棚の前で「う~ん、読んだかなあ、まだかなあ」とかなり悩みます^^;

投稿: tako | 2007年11月25日 (日) 18時11分

◆takoさん
 ドラマに違和感を感じなかったとは羨ましいです~。これから先、シリーズ化された時にスンナリ入っていけますもの!いつも、思うのですが「ドラマ化されたら原作とは別物と思え」ですね。

 百鬼夜行抄は私も「これ読んだっけ…」と表紙の絵を見ながら考え込みます(笑) 

投稿: はっさく | 2007年11月26日 (月) 22時25分

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